学究:徳富蘇峰(51)関連史料[50]

前回同様、朝日新聞掲載分から確認していきたいと思います。

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76.1909年(明治42年) 5月 25日 「●チロル氏」

全文引用↓

「モリソン氏と談話の後後藤逓相を訪ひ歸途徳富氏を訪問し一旦英大使館の寓所に歸り午後三時半よりブリンクリー氏と市中見物に出懸たり」

⇒ ロンドンタイムスの記者であった「チロル氏」の動向を追った記事。

 動きとしては「モリソン氏との談話⇒後藤逓相訪問⇒徳富蘇峰訪問⇒英国大使館⇒ブリンクリー氏と市中見物」となる。

 モリソンとは、「ジョージ・アーネスト・モリソン」のこと。オーストラリア出身のジャーナリストで、『ロンドン・タイムズ』通信員として活躍した。日本との関連でいえば、以下の二つが有名なものとしてあげられる。

①『ロンドン・タイムズ』の代表として、ポーツマス会議に出席。

②モリソンが蒐集した極東関係の文献はモリソン文庫として有名であり、岩崎久弥がこれを購入することで、東洋文庫設立の足掛かりとした。

 記事中で動向が伝えられる「チロル氏」も『ロンドン・タイムズ』の記者で、徳富蘇峰とも交流があった。

 「ブリンクリー氏」とは、「フランシス・ブリンクリー」のこと。ブリンクリーは、イギリス出身のジャーナリストで、勝海舟との交流により海軍省のお雇い外国人として活躍した。また、浮世絵師である河鍋暁斎に入門したことでも知られている(⇒を参照)。

 

*モリソン関連書籍:日露戦争を演出した男 モリソン(全2巻)上

          日露戦争を演出した男 モリソン(全2巻)下

          北京燃ゆ―義和団事変とモリソン

          北京のモリソン: 激動の近代中国を駆け抜けたジャーナリスト

           G・E・モリソンと近代東アジア: 東洋学の形成と東洋文庫の蔵書