学究:徳富蘇峰(49)関連史料[48]
前回同様、朝日新聞掲載分から確認していきたいと思います。
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74.1909年(明治42年) 5月 6日 「●國際新聞記者協會」
全文引用↓
「一昨日午後帝國ホテルに於て役員選擧會を開き左の如く役員を決定せり
會長 箕浦勝人
副會長 ブリンクリー 徳富猪一郎
名譽通信書記 千葉秀甫 蓑田長正
名譽記錄書記 鹽澤誠作
名譽會計 杉村廣太郎
委員 エロン 石河幹明
フレツシヤ― 本多精一 池邊吉太郎
ケネデー 望月小太郎 村松守義
佐藤顯理 高橋一知 土屋元作
終つて當任委員會を開きケネデー氏を員會長に選擧したり」
⇒帝国ホテルで開かれた「国際新聞記者協会」の役員選挙の結果を伝えた記事。
会長に決定した箕浦勝人は、本ブログ中に度々登場する人物。報知新聞社長、逓信大臣等を務めた。
副会長には、徳富蘇峰と「ブリンクリー」。ブリンクリーはおそらく「フランシス・ブリンクリー」のことであると考えられる。ブリンクリーは、イギリス出身のジャーナリストで、勝海舟との交流により海軍省のお雇い外国人として活躍した。また、浮世絵師である河鍋暁斎に入門したことでも知られている。
千葉秀甫は、新聞記者・(座光寺秀次郎の名で)役者で、オペラ歌手・三浦環との関係が噂された人物。言語能力を生かして、翻訳書の執筆や海外へ日本の文化を紹介する活動を行った。明治期の女性落語家・若柳燕嬢の元夫でもある。
蓑田長正については、正確な情報を得ることはできなかったが、同名でよく知られる人物に寺田寅彦が高知県尋常中学校時代(1893-1896)に交流した英語教師がいるが、年代的にも矛盾はなく、ジャパンタイムス紙で執筆をとるなど記者的な仕事にも従事、没年は大正7年であることから、同一人物である可能性が考えられる。
*フランシス・ブランクリー関連書籍:河鍋暁斎 (岩波文庫)
蓑田長正関連書籍:科学論 (新版 寺田寅彦全集 第I期 第10巻)