学究:高嶋米峰(7)関連史料[6]

前回同様、朝日新聞掲載分から確認していきたいと思います。

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12.1914年(大正3年) 6月 12日 「●佛教社會事業大會」

全文引用↓

 「來る十三、四、五の三日間佛教徒社會事業大會の催しある事は既記の如くなるが同大會は本邦空前の催しにして其次第左の如し

 ▲第一日大會 十三日午後一時麹町有樂町一の一生命保險協會本多日生、大内青巒、谷田三郎、村上専精等諸氏演説す

 ▲第二日演説會 十四日午後一時開演す △傳通院(小石川表町)村瀬戒興、境野黄洋、大舜清水信順、關根教寛、小倉海静△上宮教會(本郷弓町)三輪幸城、田中善立、田中舎身、渡邊海旭、柴田一能△統一閣(淺草北清島町)秋庭正道、安藤鐡腸、大森禅戒、加藤咄堂、壬生雄舜、武田慧宏△青年傳道館(淺草公園)齋藤康麿、景山佳雄、河西博文、磐井説成、安藤嶺丸、高島米峰、佐藤獨嘯、長谷川基△九段佛教俱樂部沼波政憲、五十嵐光龍、淺野玄秀、平松亮郷、小林雨峰

 ▲第三日實地視察 東京感化院、東京養老院同善小学校、無料宿泊所、福田會育兒院、佛教廣済會淺草寺救護所、眞龍女学校、四恩、瓜生會、少年修徳會、浄土宗働労(おそらくは労働)共済會、盲人技藝学校、日蓮宗慈済會、自立會」

 ⇒3日間をもって行われる「佛教徒社會事業大會」の大まかな内容を示した史料。一日目は、日蓮仏教の改革者で「統一団」の結成者・本多日生をはじめ、新聞『明教新報』の発刊者・大内青巒、司法省監獄局長・谷田三郎、仏教学者・村上専精による演説会。二日目は、「傳通院」や「上宮教會」など、団体ごとの演説会。三日目は、実際に仏教徒がどのような社会事業に取り組んでいるのかを、その現場を訪ねて確認するという実地視察。大正期において、仏教徒がどのくらいの規模で社会事業に参画しているのかを確かめることのできる貴重な記事である。

【人物紹介】

村瀬戒興ナチス・ドイツの研究者。

田中善立大谷派本願寺の一員として中国での布教活動に尽力、衆院議員として活躍。

安藤嶺丸⇒仏教青年伝道会創立、鉄道共敬会組織、花祭りの開始など、多くの事業の創設に寄与した。

平松亮郷⇒禅僧、鎮南専門道場・乃木山道場貫主

小林雨峰佐賀県鹿島に覚鑁生誕の遺跡をさがしだし,大正2年誕生院を再興した真言宗の僧侶。

 

*本多日生関連書籍⇒明解法華経要義

          近現代の法華運動と在家教団 (シリーズ日蓮)

 村上専精関連書籍⇒村上専精 仏教統一論

 

※今回は一記事で終わり。