学究:高嶋米峰(8)関連史料[7]

前回同様、朝日新聞掲載分から確認していきたいと思います。

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 13.1914年(大正3年) 11月 5日 「秋晴の大藏會 ▽学界の新清集」

一部引用↓

(南条文雄の梵本法華経校訂祝賀会開催を機会に創設した「大藏會」の第一回式典について)「▲祭式と講演 (中略)先づ幹事高島米峰氏の挨拶ありて(中略)東洋大學講師島地大等氏の「創立の趣旨」に次で帝大講師常盤文學士は「刻藏系統」と題し支那北宋蜀本藏經の印行より歴代支那、高麗及日本の三國に亙り十七種の板本藏經に就て簡明に頗る秩序立ちたる講説を試み最後に村上専精博士は「日本藏經に關する四天王」の題下に黄檗の鐡眼和尚、獅子ヶ谷の忍澂、越前の丹山兩上人及明治時代に於ける故島田蕃根翁の藏經翻刻に就ての偉業と功績を稱讃し午後四時三十分散會したるが参會者は権田僧正、村上、高楠、藤岡、辻諸博士、河瀬秀治翁、渡邊、荻原、長谷川各ドクトル、本多晋、久津見蕨村氏等を始め三百餘名にして當日日蓮豊山、東洋、曹洞の各佛教大學にては特に休業して學生を参會せしめたるが同會は今後毎年十一月三日を會日と定め春季の釈尊降誕会會の花祭に對する秋季の恆例行事として全國に及ぼし追つては祭式の外藏經整理の如き學術的事業にも着手する希望あり」

 ⇒南条文雄の梵本法華経校訂祝賀会開催を機会に創設した「大藏會」の第一回式典について、その講演内容を伝えた記事。注目すべきは、講演者の顔ぶれ。島地黙雷の法嗣で、天台教学の研究者である、浄土真宗系僧侶・島地大等、中国での文化史跡調査で名高い、僧侶・研究者の常盤大定ら、錚々たる面々である。

 また講演内容も興味深く、村上専精「日本藏經に關する四天王」として、江戸前期の黄檗宗の僧侶・鉄眼道光江戸前中期の浄土宗の僧侶・忍澂、縮刷大蔵経開版者で仏教学者である島田蕃根を取り上げているのは、大変面白い。(三人目に取り上げられている「越前の丹山兩上人」というのが誰なのか、明らかにすることができなかった。分かる方は教えて頂きたいです。)

 「春は花祭、秋は大蔵会」という方針も面白かった。

 

*島地大等関連書籍:島地大等和上行実―伝記・島地大等 (伝記叢書 (129))

 常盤大定関連書籍:支那文化史蹟 一

          六花飜々―清澤満之と近代仏教

 大蔵経関連書籍:日韓交流と高麗版大蔵経

 

※今回は一記事で終わり