学究:徳富蘇峰(1)忘れられた思想家?

学究ブログで扱う人物は、一人に絞らないつもりですが、

今回は、徳富蘇峰(本名・徳富猪一郎)を扱います(以下、蘇峰)。

なぜ、蘇峰なのか?

実は最近、ある友人たちとの論文勉強会の中で、

梅津順一「「平民道徳」とキリスト教── 徳富蘇峰福澤諭吉批判──」(キリスト教と文化研究所『人文科学研究(キリスト教と文化)』第44号、2013、P21-55)

を扱った。

その際、

「今日では忘れられた思想家に等しい徳富蘇峰」(P31)

という言葉が記されていた。

私はこの言葉に疑問を覚え、

「いやいや、忘れられていないだろ」

とツッコミをいれ、

確認のため、Amazonで「徳富蘇峰」及び「徳富猪一郎」と検索してみた。

すると、予想に反して

研究書や一般書の類で目に入ったのは、数冊しかなかった↓。

徳富蘇峰―日本ナショナリズムの軌跡 (中公新書)

徳富蘇峰と大日本言論報国会 (日本史リブレット)

稀代のジャーナリスト・徳富蘇峰 1863-1957(藤原書店)

など

それに最もショッキングだったのは

全集が刊行されていない

という事実である。

これでは、なかなか研究に踏み出すことができない。

一応、「公益財団法人 蘇峰会」という団体が、

HP(公益財団法人 蘇峰会 上に「著書一覧」をあげており、大変便利である。

だが、

短い記事や評論などについて、簡単に全体像を把握する手段は存在していないようである。

自分自身、まだまだ調べはじめたばかりで、多くの見落としたがあると思うが、

今後の方針として、

蘇峰の大著ではなく、新聞や雑誌に寄稿した文章を集める⇒読む⇒考察

という感じで、研究を進めていきたいと思う。

近代日本の思想史を学究する上で、蘇峰の存在は無視できない。

頑張ります!